猛暑の夏がやってきた。久しぶりに石神井川沿いの道をランニングすると、遠くから近くから蝉の声に包まれる。暑さと蝉の鳴き声が混じり合い、まるで自然の交響曲だ。
身体は汗に覆われ、息も荒くなるが、それでも足を止めることなどできない。不思議な魔力に引き寄せられるようにして、僕は走り続ける。
川の水が涼しげに見えるが、近づいてみると熱気で揺らめいている。でもそれも構わない、ただ川沿いを駆け抜ける快感に身を任せる。猛暑も蝉の声も、どんな厳しい現実も、ここでは忘れてしまう。
心地よい疲労感と共に、ランニングの終わりが近づいてくる。太陽は西に傾き、少しずつ涼しさが戻り始める。道沿いの木々が夕焼けに照らされ、美しい風景が広がる。
過酷な猛暑の中でのランニングも、不思議なロマンスを感じさせる瞬間なのだ。そして、そんな風景に包まれながら、僕はまた新たな物語を紡ぐために日々の生活に戻るのだろう。
西山克久