かつて「最高」と称されたガット張りマシーンです。
これは私が修行時代に使っていた思い出の詰まった一台です。当時、ガット張りの技術を磨く中で、このマシーンが共にしてくれた辛くも楽しい時間が蘇ります。
このマシーンは、前職の会社がすべてのマシーンをバボラに切り替える際に手放される運命でした。しかし、私はどうしても手放す気にはなれず、個人的に買取りました。それだけ特別な存在だったのです。
特徴的なのは、ハンドルの回し方次第で張り上がりが大きく変わるという点です。リズミカルに、一定のテンポを保ちながら回さなければいけませんでした。この操作感には独特の「味わい」があり、まるで道具と会話をしているかのような感覚を覚えたものです。
今となっては古びてしまいましたが、このマシーンを見るたびに、技術を追求し続けたあの頃の自分に戻れる気がします。
皆さんの中にも、こんな風に「思い出の詰まった道具」はありませんか?
西山克久