松任谷由美さんの新しいアルバム『深海の街』を毎日聴いています、
冒頭の一曲、1920には胸をうたれました、
帰宅途中この曲を聴きながら東京の街を眺めていると、遠い過去と見えない未来に想いが飛んでいきます、
『1920』には100年前のアントワープオリンピックのことが描かれています、
第1次世界大戦とスペイン風邪パンデミック直後の大会、混乱する世界で復興を掲げて開催されたオリンピック、
この大会で日本人として史上初めて銀メダルを獲得したのが、テニスの熊谷一彌さんでした、
決勝で南アフリカの選手に敗れ準優勝、あとに熊谷さんはこう仰っています、
「返す返すも不測の敗北を喫したことは残念至極だ。私のテニス生活中一生の不覚といっても過言ではない」
この頃、日本のテニス選手は軟式テニスから転向組が多く、唯一無二の技術から繰り出される強烈なドライブを打ち込むスタイルで、一気に世界トップクラスに躍り出ていたそうです、
現在で言うと、ビッグ4の一角を日本選手が担っていた様な状況でしょうか?
選手層が薄かったアントワープオリンピックで、熊谷選手は金メダル候補、先の言葉からも準優勝に終わったご本人の無念さが伺われます、
現在の日本では、軟式テニスと硬式テニスは離れてしまいました、
もしも、お互いの技術が連動して相乗効果生んでいたら、いまの日本のテニス地位は大きく変わっていたかもしれません、
歌詞の一節「テニスコートの孤独なギャッツビー」
一人で戦い、疲れ果て、コートで空を見上げたであろう情景が浮かびます、
素晴らしい楽曲に巡り逢えました、ユーミンに心から感謝。
西山克久